映画「ガメラ 大怪獣空中決戦」ガメラすげーいいやつじゃん
脚本・伊藤和典
音楽・大谷幸
公開・1995年 日本
ストーリー・核燃料を運んでいた輸送艦が航海中突如謎の岩礁に乗り上げる。そこは洋上のど真ん中で、岩礁などあるはずがない場所であった。
その後より凶暴化していく怪鳥・ギャオスとガメラの宿命つけられた熾烈な戦いが展開される。
個人評価・1.9/5.0
そんなときだからこそ、あえて当て付けのようにガメラを見てみました。
怪獣映画と言えば2体の怪獣が大乱闘すればめでたしかと思いきやこのガメラは一味違います。
第一に、怪獣の出生が完全に人工物であること。
なんで古代文明の人ギャオス作っちゃったの・・・。
人を主食にし、メス個体のみで受精を必要とせずとも繁殖していくまさに害悪の塊のようなギャオスが何故産み出されたのかは触れられません。
怪獣動物園でも作っていたのでしょうか。
真面目な話をすると、多分ギャオスは現代で言う核兵器のような、人類の手には余る超兵器へのアンチテーゼなんだと思います。多分。
↑折れた東京タワーで休憩するギャオス
真面目な話をすると、ガメラは日本の神々信仰を象徴づけてるんだと思います。少女の肉体は神の依り代となり、その魂が憑依するみたいな。多分違います。深そうな考察をしてみたかっただけです。
↑ガメラとシンクロするというとばっちりを受ける少女(右から2番目)
さらに第三に、怪獣バトルだけでは飽きたらず、人間模様も描こうとしていること。
これはほとんど頭に入ってきませんでした。まず主人公とヒロインの名前が見終わった直後から既に思い出せません。
ガメラとギャオスが町のど真ん中で戦っている最中に、それを安全そうな指令本部から眺めつつ、「いつか、怪獣のいない東京を案内するよ」「・・・ありがとう(照)」という茶番がありますが、この件のどうでもいい感も全然隠しきれてません。
もっとピンチに陥れよ!!
思わず理不尽なツッコミもいれたくもなります。
片方が死にそうになったりあわよくば死んだりしたらもっとこの二人の関係に引き込まれそうなものですが、終止余裕ぶっこいてるんだものこの二人。
やっぱりガメラが無条件で味方についてくれてる安心感がでかすぎるんですかね。とにかく危なげがないんです。
途中自衛隊に敵だと勘違いされて、なぜかギャオスよりも重点的にミサイル(推定20億円相当分)をぶちこまれても、黙って人類のために立ち上がってくれます。
なんていいやつなんだ、ガメラ!
借りた金を返しきってないのにまた貸してもらって、「ごめん!今度絶対返すから!」と言ったら「お前は出世払いでいいよ」と言ってくれる友達ぐらい優しいよ!
そしてそんな友達絶対いないよ!
普通にガメラに同情しました。
あとは人が死ぬシーンももっと感情移入させて欲しかったですかね。
以前見たゴジラシリーズのどれかで、ゴジラが病院の横を歩いていくシーンがありました。病室で足を怪我して歩けない患者が、真横をのしのしとゴジラが通りすぎていくのを息を殺して見つめています。この一瞬の緊張と恐怖が怖いほど伝わってくるんですね。
ゴジラが無事病院を通過して患者が胸を撫で下ろした瞬間、尻尾のしなりが病院に直撃し、建物は患者もろとも崩れ落ちます。
子ども心にこのシーンは ええぇぇ!?と度肝を抜かれ、その後何回か夢で同じ目に合いました。(マジで)
こんな短いカットで死者に感情移入させる技も凄いですが、ガメラにももう少しこんな要素があってもよかったかもしれません。
なんか運命すら感じました。結局金子さんすごいや!
実際に起きたら謹慎まっしぐらの出来事も、怪獣映画ではいっそのこと全部やってのけて欲しいですよね。
「破壊」という普段やってはいけない行為を、怪獣が嬉々としてこなしてくれるのが気持ちいいんです。男はいくつになっても、そういうところがあるんじゃないでしょうか。
一つ言えるのは、金子さんすごいや!
↑今回紹介した映画。ちなみに2部3部もあります。
ではまた!