青色コラム

著者紹介:1995年生まれ。大阪生まれ、東京育ち。現在沖縄にて大学生として活動中。

なぜ青色か、それは青い空の無限の広がりと、己が青さを意味しているのである――。 嘘です。ただ青が好きなだけです。2秒で考えました。 非公認コラムニスト・くぼただいちが日々の出来事や活動、映画などの鑑賞批評もどき等を綴ります。

コザ琉映の幕引きに立ち合った話

こんにちは、くぼただいちです。

 

 

去る2016年7月31日

突然ですがこの日がなんの日だったか、皆さんはわかるでしょうか。

 

「あ、自分の誕生日だ!」

と思った人に関してはおめでとうございますとしか言えませんが、それ以上にもっと歴史的に重要な意味を持つ日なのです。

 

そう、コザ琉映が長いその歴史に幕を下ろしたその日だったのです!!

 

これだけハッキリと言ってもほとんどの人がその重要性を理解できていないと思うので、解説します。

 

 

コザ琉映とは?

コザ琉映とは、沖縄市コザ銀天街の一角にある1960年創業の映画館です。

 

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見てください。

歴史ある外観に、わくわくを抑えきれません。

なんとこのコザ琉映、未だにフィルム映画を映写機で投影して上映しているのです。フィルム映画特有の画面のバチパチ感が楽しめるのです。溢れ出す昭和愁に胸の高鳴りを隠せません。

 

肝心の映画は何を流しているのかというと、

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ビーバップハイスクール

・・・ではなく、

 

 

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ポルノ映画です。

(※以降紹介するポスターは公衆衛生上、全てモザイク処理を施しております。クリックしたらモザイク外れるとかの仕掛けも著者の技術的都合上ありませんので、ご了承下さい)

 

そりゃわくわくもすりゃ胸も高鳴るってもんだ。

 

 

閉館日に初訪問

そもそもコザ琉映に足を運ぶことになったあらましは、ある後輩の一言からでした。

 

「先輩、俺、ピンク映画見に行きたいっす」

 

彼の目は純粋な学問の探究者のように澄みきっていました。

 

「いや、うん。行こうよ」

 

ものの8秒ほどで人生初のポルノ映画館に礼賛することが決まった瞬間です。

 

調べてみると沖縄県内には2ヶ所ポルノ映画館が存在することが発覚。一ヶ所は首里、そしてもう一つがコザ琉映でした。

そしてコザ琉映が閉館を迎えることを知り、その勇姿を見届けようということで一路コザへ。

 

ちなみに俺は、フォーマルな場であることを想定してビシッとスーツを着て行きました。

 

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マジで閉館日に来ちゃいました。

 

女将さんに「そこのお兄さんたち見ていきな」といざなわれいざ中に。

料金は1100円で、好きなだけいていいそうです。しかも今日は閉館日なので特別に、一度退出してまた戻ってきても追加料金なし。

それすなわち1100円ポッキリで朝から晩までポルノ映画漬けの一日を送れるという意味です。まったく、脳が沸騰しちまうってんだ。

 

館内には往年の手書きポスターの数々。

 

 

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↑平成生まれにはトルコという響き自体が文化遺産。あと、団地妻って言葉作り出したやつの語感センスには脱帽せざるを得ない。

 

 

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↑一番右の作品のタイトル「修道女 塗れ縄ざんげ」に、監督の性癖が詰め込まれ過ぎてて爆笑しました。

 

いや~ロマンスに溢れていますね。

場の空気に流されないためにもスーツを着てきて完全に正解でした。

 

ちなみに館内のトイレにはトイレットペーパーがありません。

女将さんいわく「トイレットペーパー付けたらそこら辺がトイレットペーパーだらけになる」そうです。お察しします。

 

 

劇場内は意外と広く、なぜか後方で立ち見している人が多かったですね。

通は立ち見するという文化でもあるんでしょうか。

 

 

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↑上映終了後に撮影しています。

 

 

席につくなりなぜか、こういう「場末のフィルム映画館でしたいこと」の話で盛り上がる俺ら。

 

後輩「俺は何人かでかくれんぼがしたいですね」

俺 「あー、あるね!子供達が閉館後の映画館でかくれんぼして一人いなくなるパターンのやつだよね」

俺「俺はやっぱ闇の取り引きしたいよね。前後に座って、封筒を座席の隙間からスッと」

後輩「そういうときって大体白黒のフランス映画とか上映してますよね!」

 

しかし我々は上品にフランス映画を見にきた訳ではありません。

目的はポルノ。さぁ、エロスの扉を開けようではないですか!

 

 

上映作品一言レビュー

「女教師 秘密の放課後」

一番現代的な作品。

男優が綾野剛に少し似ていたのがポイントです。

内容としては姉夫婦と妹カップルが同棲することになって、両組共に秩序が崩れ去るというありきたりなものですが、ラストシーンで四人で囲む食卓になんの前触れもなくバラの花びらが大量に舞い落ちるという、斬新すぎる演出が神がかっていた作品でした。

 

「背徳の海 情炎に溺れて」

あまりに社会的なテーマが設けられていて、堪えきれず寝てしまった作品。

海に何かを建設しようとする行政とそれに反対する近隣住民の攻防を描いていたようですが、主演のセクシー女優・友田彩也香のネームバリューに釣られてガン見していた後輩も内容はさっぱりわからなかったそうです。

 

③「緊縛絵師と甘美なる宴」

もはやミステリードラマの域に入り込んだ、伏線回収が鮮やかな作品。

緊縛絵師という崇高な芸術を完成させようとする画家と、その絵のモデルとなる半奴隷状態の娘の話なんですが、そこに殺人事件や復讐や野望やポイズンという要素が複雑に絡み合いまさに緊縛状態に。上手いこと言えました。

 

 

 

スーツを着ていったのが幸を奏し、女将さんにもすぐに覚えてもらい顔パスになったのは感慨深かったですね。

最終日に初訪問で常連感を醸し出すという偉業を成し遂げたと思います。

 

最後に注目の俳優を紹介します。

なんと上映されていた3作品の内2作品に出演していた超売れっ子俳優、

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森羅万象(しんらまんぞう)さんです。

 

まんぞうを知らねばポルノ界では間違いなくにわか扱いされますので、これからポルノ界を背負って立とうとしている人は必ずメモっておいて下さいね。

 

 

 

ではまた!