映画「TOKYO TRIBE」 レペゼンTOKYOマザファッカ
今回超ネタバレコラムで紹介するのは、映画界の異端児・園子温による監督作品、「トーキョー・トライブ」。
が。
ここで一つ衝撃の発表をさせて下さい。
実はこの文章を書いてる現在、俺はまだ本作を見ていません。
漫画原作もあるそうですが、そちらも一切読んだことがありません。
じゃあ何を紹介するんだという話だとは思いますが、安心して下さい、これから見てきます。
ですがその前にちょっと、なぜ今作を見ようと思ったかを説明させて下さい。
トーキョートライブ、俺も名前だけは知っていました。なにやら近未来のトーキョーで族(トライブ)がラップバトルを繰り広げるらしいじゃないですか。いかにも面白そうです。
しかし!アマゾンでの評価が大変なことになっているのを見つけてしまったのです!
評価がわずか1.9なのです。
仮にも人気原作コミックを充分にキャリアを積んだ園子温監督が撮って、この惨憺たる評価。
この時点であり得ないくらい気になります。
レビューにも辛辣な言葉が並んでいました。
★☆☆☆☆ 時間の無駄でした。
★☆☆☆☆ これはひどい
★★☆☆☆ 何がしたいのかわからない
★☆☆☆☆ 映画の崩壊
★☆☆☆☆ クソ映画
★☆☆☆☆ おっぱい以外絶望的
こんなのもう見るしかないでしょ。
お前はどれくらいなんだ!どれくらいクソ映画なんだ!と、自分の中でここまできたら確認せざるを得なくなってしまいました。
レビューから仕入れた情報によると、
『最初から最後までチョロチョロ出てくる染谷将太のRAPは出演者の中で最強にヒドい』
『日本映画の堕落の極み』
『こんな映画を見てしまった自分に怒りを覚える』
『竹内力の演技がイカれてる』
『ぽろりがある』
――らしいです。
少なくとも自分に怒りを向ける必要まではないのでは?と思ってしまいますが、これも見ていないものの素人考えであることは確か。
ならこの目で見てやりましょう。
2時間の時間を無駄にする覚悟は必須と書かれていたので、腹はくくりました。
それでは皆さん、2時間後に俺がどんな紹介をするのか、楽しみに待っていてください!
監督・園子温
脚本・園子温
原作・井上三太
音楽・BCDMG
公開・2014 日本
ストーリー・風俗や文化が退廃した都市、トーキョー。23区はストリートギャングのような族(トライブ)が縄張りを張って支配していた。各トライブの勢力は均衡していたが、ブクロを支配するWU-RONZ(ウーロンズ)のリーダー・メラ(鈴木亮平)によるムサシノSARUのリーダー・海(YOUNG DAIS)狩りとトーキョー制圧計画によって、23区はトライブ同士の熾烈な戦争に突入する。
その頃、ブクロを裏で支配する中国の大司祭の孫娘・スンミ(清野菜名)がトーキョーに亡命していることが発覚し、大司祭はブクロを牛耳るヤクザ・仏波(竹内力)やメラにスンミの捕獲を命令。本国から腕利きの用心棒も送り込んでくる。
トーキョーは勢力を守らんとするトライブと、個人的な欲望の為に暴れまわるメラ、スンミ捕獲に躍起になる巨悪ブッバによる三つ巴の思惑の中で揺れ動くことになる。
個人評価・3.9/5.0
いやいや、2時間たっぷりしっかり見てしまいました。
途中確かにポテチ食ったり鼻ほじったり筋トレしたりもしていましたが、それでも2時間は特に長く感じなかったですね。
結論から言います。
なんだこれ、オモシロイじゃありませんか。
とにかく初めて見るタイプの映像作品なことは確かです。
作中ではほとんどずっと重低音のビートが刻まれ、ところ狭しと出てくるイカれたトライブのラッパー達が、フリースタイル(※1)をぶちかましまくります。
(※1:音に自由な型のラップをはめること、また即興のリリック(歌詞)でのラップを披露すること)
あとはひたすらエロと暴力。もちろんヒロインのポロリもありますし、人はワンパンで10メートルくらい吹っ飛びます。
つまり、映画の崩壊です。
でもこれは、そういう映画じゃありません。もうむしろ映画というジャンルを無理に当てはめない方が楽しめるはずです。
映画並みの予算とキャストをつぎ込んだ長編PVなんです、これは。
ラップミュージカルという新たなジャンルを開拓した今作ですが、もう言及したいところは山ほどあります。
まず、世界観がブッ飛び過ぎてて、全てを何だかんだ“アリ”にしている凄さ。これに尽きます。
いきますよ、試しに何の説明もなしに作中のワンシーンを並べてみますよ。
えーっと、皆さんの心情を一言で片付けると “パニック” だと思います。
まるで前衛美術を並べられたような衝撃ですよね。
「なんかわかんねぇ!なんかわかんねぇけどすげぇ!頭おかしくなりそう!」みたいな。
わかります。よくわかります。
これが一つの映画の中に収まっていると思うと、見終わった今でも不思議な気分になります。
それでもこれをなんとな~く納得したまま見ていられるという、軽い奇跡を生み出すのが園子温という監督なんでしょうね。
そしてやっぱりこれは言いたくなっちゃう、竹内力の変態的役作り。
『竹内力の演技がイカれている』というレビューの表現に、一つも誇張はありませんでした。
彼は仏波(ブッバ)と呼ばれ怖れ敬われる、完全にイカれポンチッチなヤクザ(?)役。
見てください。この格好でこのイスに座って妙な説得力を出せる希有な俳優が、日本に何人いるでしょうか。
絶対この人しかいないですよね。
そして叶美香の乳をがしがしと揉みしだけるのもこの人だけでしょう。
仏波の息子・ンコイ役は窪塚洋介ですが、どっか飛んじゃってる危ない男がよく似合いますね。
人間を家具にして喜ぶという狂気の沙汰を見せてくれます。
つまるところ最後にどーしても言いたいのは、最初から最後までチョロチョロ出てくる染谷将太のヘチョラップですね。
出演者のことを『チョロチョロ出てくる』と表現するあたり、これほどまでに失礼極まりないコメントもそうないと思います。読んだとき思わず爆笑してしまいましたもん。
この伝説のレビューを書いたひげボウズさんをリスペクトして、借用させて頂きました。
染谷将太はMCショウという役名で出てくるんですが、ひげボウズさんも仰る通りこの映画の案内人役です。
彼のラップからこの世界の紹介が始まります。
オープニングはすごくカッコいいです。イカれたトーキョーの暗部をショウがショウ介(※2)してくれるあたり、結構心を奪われます。
(※2:断じて筆者はラップのつもりで書いていません。よってダサい等の批判は一切受け付けておりません)
でも、如何せん作中には本物のラッパー達が多数出てきてしまいます。俳優でも窪塚はレゲエでDJ活動を行うその道のプロ。
そう一人だけ素面なんですよ、彼。
他の出演者陣みんな確実にナニかをキメてる雰囲気が溢れ出ているのに、染谷君だけなんか素なんですよ。
・・・別に染谷君悪くなかったですね。
監督を始め、他の出演者達にむしろ非がある気がしてきました、この場合。
それでは、ほんとにほんとに最後に一言言わせてください。
全力でお前らなにやってんだ!
でも楽しかったぜ!!
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ではまた!