ドラマ「池袋ウェストゲートパーク」 IWGP最高!
公開・2000年 日本
ストーリー・池袋西口にあるフルーツ屋の息子、真島マコト(長瀬智也)はいつも西口公園で親友のマサ(佐藤隆太)とつるんでいた。学生時代は地元でも有名な不良でありながら真っ直ぐな性格のマコトは、池袋では顔が広く、池袋のストリートギャング「Gボーイズ」のキング・安藤崇(窪塚洋介)とは同級生の友人関係。「めんどくせぇ」が口癖のマコトだが、持ち前の行動力と顔の広さを頼って、ヤクザや個性的友人達が次々とマコトに面倒な依頼を持ってきては、その度に事件に巻き込まれていく。
個人評価 4.6/5.0
超ネタバレコラム、今回は16年前のドラマの紹介です。
「あまちゃん」などで今をときめく脚本家クドカンが、初めて連ドラ脚本を手がけた作品。16年前、このドラマの影響で渋谷や池袋に「チーマー」と呼ばれる若者の不良集団が沸きに沸いて社会現象化したことは記憶に新しいですよね。
・・・どこがって感じですね。
当時俺にいたっては若干4歳ですしね。記憶どころか物心すらおぼつきまくっていた時期です。猫だったら軽く化けて出れる年月ですね。
チーマーという言葉も完全に死語と化した今さらになって、なぜ池袋ウェストゲートパークの記事なのか。
それはこんなにも面白い作品が時の彼方に埋没していて、現代を生きる若者が池袋のいの字も知らないのが残念でならないからです!今こそIWGPの魅力を再発見してもらいたい!!
あとは俺がつい最近TSUTAYAで借りまくって見たからです。借りすぎて延滞さえしてしまいました。延滞料たけぇ・・・。
そもそもこのドラマ、原作があります。直木賞作家でもある石田衣良先生がなんと18年にわたって執筆しつづけているシリーズものの小説なんです。現在全11巻に及ぶ大作なんですが、俺はもともとこのシリーズの大ファンなのでした。
読めば読むほど味が出る、マコトの切れっ切れの語り口が爽快な、スピード感溢れるこの原作をクドカンがどういう味付けで料理したのかもちろん気にはなっていました。でも原作ファンとしては、わさびと醤油でスッキリあっさりまとめられてるところにドロドロの中濃ソースとかかけられちゃったらもう、気持ち悪くて仕方ないじゃないですか。それを恐れて今までなかなか手を出せなかった作品でもあったのです。
・・・まあ、結果クドカンの才能の前にひれ伏すことになりました。少しは「原作の面汚しだ!」みたいな批判をボロクソに言いたい気持ちもあったんですが、全然言えません。無力でごめんなさい。
とはいえ!原作もドラマも堪能しているからこそ言えることは、この2つは舞台と登場人物の名前こそ同じだけども、ほとんど別の話だということです。クドカンは味付け以前の問題で、別の料理を作っちゃったんですね。でもこれが旨いからずるい。
★クドカン流登場人物名鑑★
ドラマ版は登場人物のキャラクターや使い方が、もう原作とはだいぶ違います。せっかくなので少し紹介。
①マコト(長瀬智也)
池袋のトラブルシューター、マコト。主食は焼きそば。口癖は「めんどくせぇ」。
見た目のイメージ的にも最も原作に近い。しかしこちらのマコト、バカすぎる。度を越えたバカなんです。「トラウマ」という言葉の説明を聞いて、「なんで虎と馬が一緒にいるんだよ。意味わかんねーよ、話が見えねーよ」と息巻いていました。
原作では、その文章自体をマコトが雑誌のコラムとして書いている設定なのもあり、結構インテリジェンスな面もあるんです。
②キング崇(窪塚洋介)
ギャング集団・Gボーイズのヘッド。通称キング。ブス専。
逆に原作から最もかけ離れたキャラクター。原作のキングは氷の王様と呼ばれるポーカーフェイスのクールガイ。対してこちらのキングはいい意味で完全にイっちゃってます。語尾にナリとかつけちゃいます。これまたどうしてカッコいいっていう窪塚マジック。
③ヒカル(加藤あい)
本名渋沢光子。マコトの彼女になる。
原作では1話しか出てこなかったヒカルも、ドラマでは全話通して登場する重要な役どころ。
④山井(坂口憲二)
通称ドーベルマン殺しの山井。池袋で最もどうしよもない男。
学生時代に近所のドーベルマンを五寸釘1本で殺傷して一躍名を馳せた山井。原作ではほとんどモブキャラ状態の彼も立派なキーパーソンです。
⑤真島リツコ(森下愛子)
マコトの母。合コン好き。ねずみ講の会員。
原作ではおふくろとしか書かれず名前すらなかった母ちゃんが、こちらではパワフルに大活躍。マコトからはババアと呼ばれて親しまれています。ババアババアいわれすぎてかわいそうなレベル。
クドカンが描く人物は一人一人が生き生きとしていて、見ていて楽しいんですよね。
ストーリーとしても、1話完結に近いような事件を散りばめつつ、最後まで軸となるような謎がきちんと用意されている。抜群に連ドラ向けの脚本なんです。
クドカンお得意のおふざけも随所に挟まり、後半ではメインキャラが死体で見つかるような鬼シリアス展開もありと、緊張感のメリハリもすごい。
やっぱクドカン半端ないっす。
原作もマジでおすすめなので合わせて見てみてくださいね!
IWGP見て池袋に走れ!!
今回紹介したドラマ
原作はこちら
ではまた!